Q15 宇宙エレベーターに乗る資格や条件はあるのでしょうか。
A15 国際線のジェット旅客機や国際航路の豪華客船に乗るのとあまり変わらないでしょう。
宇宙エレベーターで観光旅行ができる頃には、特に資格や条件などなしに、誰でも乗ることができるようになっているはずです。宇宙エレベーターは、はじめは無人で貨物だけを運び、有人になるのは、信頼性が確立されてからでしょう。それも、はじめのうちは、宇宙飛行士のような、危険を承知の上で搭乗するプロに限定されるはずです。しかしそれは、特別な資質が必要だからというわけではなく、十分な安全性が確保されていないからです。
宇宙エレベーターのクライマーには、打ち上げロケットとは異なり、昇降時に大きな加速度はかかりません。クライマーの加速度は、地上の建物で使われているエレベーターと同程度の加速度になるよう制御されるはずです。地上の建物でエレベーターに乗るのに資格や条件がいらないのならば、クライマーに乗るのにもいりません。静止軌道ステーションまで行くには、無重力状態への対処法について説明を受けなければならないかもしれませんが、低軌道高度に行くだけならば、それも必要ないでしょう。
体調が悪くなってもすぐには病院に行けない
また、宇宙空間ではクライマーの外は真空状態ですが、機外に出ることのない乗客には、特に訓練は必要ありません。ジェット旅客機は空気の薄い成層圏を飛行するので、そのまま機外に出れば酸欠で死に至る危険がありますが、搭乗するために訓練を受けることはありません。ジェット旅客機に乗るのに訓練がいらないのならば、クライマーに乗るのにもいりません。
問題になりそうなのは、搭乗している時間が長いため、体調が悪くなってもすぐには病院に行くことができないことです。国際航路の客船と同じように、クライマーには医師が同乗するようになるのかもしれませんし、初期の旅客機の客室乗務員のように、看護師が同乗するのかもしれません。いずれにしても、国際線のジェット旅客機や国際航路の豪華客船に乗るのとあまり変わらないでしょう。(佐藤 実)