SPEC2017 IN MITO 開催
2018/01/07
水戸市の千波公園で先月2、3日、「宇宙エレベーターチャレンジ」(SPEC2017 IN MITO)が開かれました。
1. 概要
9回目の今回は、昨年に引き続き、都市部である水戸市の郊外で実施。大学や企業、個人有志など、国内外から約20チームが参加しました。
人口密集地であることを考慮し、高度も前回同様で最高約200m。バルーンから吊り下ろしたロープ式とベルト式の2種類のケーブル(テザー)を、各チームが自作したクライマーを昇降させて性能を検証しました。
2. ユニークなクライマー群
各参加チームの技術は年々進化・多様化しており、今回もユニークな性能を持つ機体がエントリーしました。ドイツ・ミュンヘン工科大チームのクライマーは軽量化などを考慮し、カーボン製の外殻で覆われており、真っ黒でまるでオーディオ機器のよう。
クライマーが一定の高さまで昇ると、格納されていた子機である小型クライマーが続きを昇るという神奈川大学の機体は、将来エレベーターが実現した時に、大気圏の内外などで求められる性能が異なるために、機体も使い分けされるであろうといった思想から設計されたとのこと。このほか、スピード重視や運搬能力に特化したもなど、開発思想に広がりがみられました。
また今回は初の試みとして、人形を収納した箱を積載するというオプション企画を実施。密閉された箱の中に、男子トイレのマークのような直立姿勢の人形が3体、所定の位置に磁石でくっつけられており、人形の位置がずれたり転倒したりせずに昇降できるか、というもの。やはりいずれのクライマーも、各昇降時の振動などで帰還するまでの間に人形がコケてしまいましたが、各チームとも新たなチャレンジ企画を楽しんでいました。
3. 結果
SPECは本来、順位や優劣をつける「競技会」ではありませんが、今年は水戸市などのご協力で、結果に応じて上記の人形輸送を含む3種類の「水戸市長賞を設け、審査に基づき以下のチームが受賞しました(エントリーは各チームの自由。カギカッコは受賞の言葉)。
(1) スピード賞(最高上昇速度を記録したクライマーを表彰)
ミュンヘン工科大学 “One Third”「素晴らしい賞に感謝している。各チームのクライマーはクールな発想でとても印象的だった。いつか再び参加したい」
(2) ペイロード賞(ペイロード比=どれだけ重い荷物を載せたかで最高記録のクライマーを表彰)
4th Laboratry「いつでも挑戦を待っている」
(3) ミッション賞(箱を搭載し、中に入れた人形が倒れないよう運ぶ技術で最優秀のクライマーを表彰)
チーム奥澤「今回初めてミッションのカテゴリーにチャレンジしてみたが、その様子を全天球カメラで、水戸の美しい景色を背景に撮ったので、Youtubeにアップするので見てほしい」
参加者、関係者の皆様、誠にありがとうございました。次回もよろしくお願いいたします。