Q05 宇宙エレベーターは天候の影響を受けないのでしょうか。嵐や雷でも大丈夫ですか。
A05 気象現象はあまり大きな問題にはなりません。
宇宙エレベーターのケーブルの長さは、10万キロメートルほどになると想定されていますが、大気圏の厚さは100キロメートル。そのうち、激しい気象現象が起きる対流圏は、地表付近の高さ10キロメートルの範囲にすぎません。宇宙エレベーターのケーブルが大気圏を貫いている長さは、全体からみるとほんのわずかなので、気象現象から受ける影響はあまり問題にはなりません。
もちろん、宇宙エレベーターのケーブルは風で流されますが、宇宙側の動きに比べて大きいわけではありません。宇宙エレベーターのケーブルのほぼすべての部分は、宇宙空間にあります。私たちは、大気の動きが複雑な地表で生活しているので、風や雷が心配になりますが、宇宙エレベーターのケーブルは、大気圏内で起きる気象現象よりも、宇宙空間で起きる現象から大きな影響を受けるのです。
また、宇宙エレベーターの地表部が設置される予定の赤道上は、台風のような激しい気象現象が起きにくいところです。宇宙エレベーターのケーブルに対する風の影響は、あまり考慮しなくてもよさそうです。
周辺には雷は落ちにくい
ケーブルが電位差を解消してしまうので、宇宙エレベーターの周辺には雷は落ちにくくなります。電位差について説明しましょう。落雷は、雲と地面の間の放電現象です。放電するには、雲と地面の間に電位差が必要です。しかし、宇宙エレベーターのケーブルが地面から大気中を貫いていると、ケーブルが導線のような役割をするので、避雷針【ひらいしん】のように、雲と地面に放電するほどの電荷がたまりにくくなるわけです。
電荷がたまらなければ、電位差が大きくならないので放電することもなく、雷が落ちることもありません。ですから、宇宙エレベーターのケーブルに対する雷の影響も、あまり考慮しなくてもよさそうです。