Q11 日本に造ることはできないのでしょうか。
A11 将来的には可能かもしれませんが、初期の宇宙エレベーターでは難しいでしょう。
宇宙エレベーターのケーブルは、赤道上に設置するのが基本です。宇宙エレベーターは、とても長いとはいえ、人工衛星のようなものなので、人工衛星に不可能なことは、宇宙エレベーターにも不可能です。
例えば、日本の上空に静止衛星を設置することができれば便利ですが、静止軌道は赤道上にしかないので、不可能です。日本の上空に静止衛星を設置しようとしても、衛星は日本の上空に留まることができません。無理やり留めようとするなら、ロケットで噴射を続けなければならず、現在の技術では無理です。宇宙エレベーターも同様で、静止軌道のある赤道上にしか、設置することができません。
ケーブルの地表側を曲げることは可能だという考えもある
ただし、ケーブルの地表側を曲げることは可能だという考えもあります。宇宙エレベーターの大部分は赤道上に置いたまま、地表側の端だけを赤道から北や南にずらず、という考えです。また、ケーブルを途中で二股に分けて、それぞれを北と南に設置する、という考え方もあります。このような方法が実現すれば、日本の南の海上に、宇宙エレベーターの海上ターミナルを設置することができるかもしれません。
しかし、初期の宇宙エレベーターではケーブルに余裕がないので、赤道直下に設置することになるでしょう。ケーブルを大きく曲げて設置するには、ケーブルの強度に余裕が必要です。初期の宇宙エレベーターのケーブルには、おそらく、あまり余裕はないはずです。まずは高望みをせず、赤道上に設置して、確実に宇宙と地球を行き来できるようにすることが先決でしょう。(佐藤 実)