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2.宇宙エレベーター建設のための課題

 原理がわかっていても、実際に宇宙エレベーターを建設するためには、いくつもの課題があります。そのうち最も大きなものは材料で、同じ重さで鋼鉄の180倍ほどの引っ張り強さがあるテザーの材料が必要です。

 しかし、1991年に日本のNECの飯島博士がCNT;カーボンナノチューブを発見したことで状況が変わってきました。CNTは理論上、宇宙エレベーターを 建設するのに必要な軽さと強さを持っているのです。もちろんまだ強度のあるCNTの量産は、世界中の研究機関で研究され始めたばかりなのですが、2007 年現在、既に必要な強度の3分の1ほどのものを大量に生産する技術が現れ始めています。このことは、人類が非常に引っ張り強度の高いテザーの材料を作り出 すことが可能であることを示しています。

宇宙エレベータの建設のためにはまだまだ多くの課題が山積です。

・太陽からの電磁波や放射線、熱による影響
・隕石やスペースデブリによるテザーの損傷
・高空に存在する原子状酸素のテザーへの影響
・落雷、ハリケーンや雹、ジェット気流
・振動
・地磁気による誘導起電流
・航空機による事故やテロ対策…

しかしこれらの問題は、宇宙エレベーターに特有のものだけではなく、既にこれまでの宇宙開発で取り上げられ始めているものばかりなのです。

初めての方へ──宇宙エレベーター早わかり1.前提知識2.宇宙エレベーター建設のための課題
3.エドワード博士の研究と海外の動向4.宇宙エレベーターが人類にもたらすもの5.宇宙エレベーターの建設プラン
6.宇宙エレベーターをどう捉えるか?補足:宇宙エレベーター主要年譜宇宙エレベーターQ&A集
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