5.宇宙エレベーターの建設プラン
現在検討されているプランでは、テザーの材料や技術に関する様々なテストを経た後、展開機の組み立てに必要な資材を既存のロケット技術で一時的な低 軌道に打上げ/組立てを行うところから建設を開始します。展開機は10万キロのテザーを巻いたリール、一時的な低軌道から静止軌道以遠に軌道変更していく ためのロケットなどから成り立ちます。また地上側は、赤道近隣の比較的気候の穏やかな地域の海上に石油掘削リグと同様なプラットフォームを準備します。
準備が整うと、展開機がリールから先端に重りをつけたテザーを地球に向けて引き出しながら低軌道から静止軌道の向こうまで移動していきます。全てのテザーを出し切る直前にその先端を海上周辺でキャッチしてプラットフォームに接続します。
その後は、追加テザーを詰んだクライマー(上昇機)が、テザーを補強しながら登っていきます。(この過程では、一度登っていったクライマーは降りてきません)この過程を200回程度繰り返すと、20トン前後のクライマーが運用可能になります。
Liftport 社の設立者の一人、T.Nugent博士は2006年の夏に、宇宙エレベーターの建設に必要な工程の検討結果を発表しました。そして、その実現はプロジェクト 開始後25年と見積りました。これは様々な材料、技術の検証にかかる時間で、テザーの材料開発のための工程は含まれませんが、宇宙エレベーターの実現に向け てこれから実施しなければならない多くの工程の指針となるものです。